東京に犬と住んでいる。
この街の季節の中で一番好きな季節は5月である。5月は季節じゃないので初夏というべきか。初夏というと5月+6月上旬である。でも6月に入ると初夏のすがすがしさが薄れて梅雨がジャブを入れ始める。なので初夏ではなくやっぱり5月というのが正確な期間だ。
5月に入ると4月に経験した不意打ちの寒い朝というのがほとんどない。5月は、公園を散歩するときのコートも要らず、天気が良ければ早朝でもTシャツでOK。
朝起きて「早く外に出て散歩したい」なんて思うのは暑くもなく寒くもない5月だけ。暖かくなって犬達も楽しくなるのかたくさん運動するし、周りの犬達とも積極的にあいさつする。自分も犬も肌を外の空気に触れさせたくなるし、自らの心を開いて周りの人や犬との交わりを楽しみたい季節である。
いったい私達の心や体に何が起こっているのだろう?外は暖かくなり、早朝から日光が降り注ぐ。同時に冬の厳しさから解放され、内部に閉じ込められていたものが自然と外に出る。まるで転校生が新しい環境にも慣れ、身の安全を脅かす意地悪な生徒もいない安全な場所とわかる。そうしたら周りの環境につられて本来の自分の「素」が自然と出てしまう感覚ではないだろうか。
このように季節の移り変わりが自分の気持ち、体調に影響を与えていることに気が付けたのは犬のおかげだ。私と犬は年中同じ時間帯に同じ公園を散歩する。公園の木々がこの季節に一気に葉を増やす。そして花壇の植物が想像もしなかったあざやかな色の花を一斉に咲かせる。犬だってどこかハッピーに見える。これにつられてこの季節になると、私の体や心が内から外へ解放されることに気が付く。
5月とは何かが始まる季節で、これから来る楽しい夏の入り口でもある。東京の犬飼には最高な季節だと思う。
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