ライが死んで一週間が過ぎた。
お骨や友達が送ってくれた花が目に入るたびに、ライのことを思い出す。彼の横顔に自分の頬っぺたを付けた時の肌の感覚、匂いを思い出す。
以前に比べて、涙がダムが決壊するように溢れ出すことは少なくなってきた。彼のことを忘れてしまったのではない。ライのことは日に何度も思い出す。
そうではなく、ライはもうどこか違うところに旅立って行った。あちら側で新し仲間と楽しくやっている。そして、新しい場所で新しい生活をしているからもうここには居ないんだ。などと頭がストーリーを作っている。
それと同時にこんな事が起こっている。ドバーと湧きだした行き場の無い感情が、所定の場所に収まっていく感覚。以前は「決壊して溢れていた感情」というデータが、今は決められたフォルダにきちんとファイリングされている感覚。
感情の流れを決壊させることなく正しい場所へ誘導できるようになると、それは「1つの記憶」として決まったことろに保管されていく。そうすれば思い出したいときはいつでもそこから思い出を探しだすことできる。
これが「悲しみを乗り越える」ということなのだろうか・・・